WORKS
噺家と妻、その父と稽古場|110
OUTLINE
- 所在地
- 大阪府
- 築年数
- 32年
- 面積
- 90㎡
- 工事費
- 1400万円
- 工期
- 90日
※工事費・価格は施工当時の価格となります
DESCRIPTION
桂花團治さんは、妻の父からのアドバイスが身に染みたと語ります。「仕事とプライベート、しっかりと分けた方がいいんじゃないか?」。というのも、前の住まいは3階建て、1階と2階をプライベート、3階を落語教室や稽古場として使っていました。3階に行くには、2階のLDKを通るため、お稽古人さんは気を使い、妻はお稽古が終わる22時頃までお風呂にも入れません。そして、妻の父は手をさしのべます。「うちの1階の会計事務所も閉めたことだし、どうだ?この事務所。稽古場兼住まいに改装したら」。クラシックコンサートのナビゲーターも務める多才な花團治さん、多くの芸術家が交流できるサロンが欲しいと常々考えていたこともあり、この申し出、快く受けることとなります。
リノベーションでも清祓式をするのが、シンプルハウス流。事務所だけでは狭いため、ガレージを稽古場にコンバージョン、事務所や会議室だった部分に水廻りを新設し、2LDKにリノベーションしました。稽古場と住まいの間にワンクッション。両側から使えるトイレを挟むことで、うまく空間をゾーニング。事務所で活躍していたドアは、浅葱色、萌黄色、真朱色と塗り分けて再利用。実はこの色、天神橋商店街由来の色だそう、驚きました。外観はベージュのタイルに合わせて、黒塗装+格子で和モダンな雰囲気。向かいの方から、「ドアをあけるとステキな家が見えてうれしいわ」と褒められるんですって。
古い鉄骨造あるあるですが、解体時に、天井裏からアスベストらしき物体が出現して騒然。有害物質として認識される前は鉄骨造の耐火被覆として一般的に使われていたので、使っていてもおかしくない築年数。アスベストなのか、ロックウールなのか。見た目では判別つかず、専門機関に依頼したところ、正式にロックウールだと判明。安心して、工事を進めることが出来ました。もうひとつ発覚したのが、白蟻による被害です。鉄骨造なのですが、下地の木材が白蟻の被害を受けており、こちらは防蟻処理薬を散布して工事を進めました。検査費用と防蟻処理薬散布費用は、当初の見積もりプラス10万円かかりました。
花團治さんは「欲しい資料がすぐ見つかる笑。オンオフの切り替えも早くなり、より集中できるようになりました」と、稽古風景を撮影させていただきました。役得、役得。「清祓式で、実家の歴史を織り込んだ祝詞を上げていただいたこと、お気に入りのドアを再利用したこと。父は本当に喜んでいました」と妻。妻の父が建てた家を、妻の夫が引継ぎリノベーション。その想いのバトンタッチがグラデーションとなり、暮らしに笑顔をもたらします。
STAFF
落語ってどんな空間でするんだろう?ということでまずは繁盛亭で落語を鑑賞。
稽古場のイメージを膨らませました。
打ち合わせの中で、稽古場の使い方でどんどん妄想が膨らむご主人と、プライベートスペースを確保したい奥様とのせめぎあい(笑)がとっても楽しく、譲り合うお二人を見て素敵だな~と終始感じておりました。
ご家族の想いとお父様の想いを継承することに携わらせて頂き、本当に感謝です。
初めてお会いしたとき(ご夫婦で来店)ただものならぬ、声と表情の変化
職業を聞いて納得です
温和な笑顔はご夫婦とも奥様のお父様と.会計の話を現場でさせていただけ
何よりです。
引き渡しからしばらくが経ち2度ほど師匠の独演会に出かけました
新作から古典ましてや狂言の楽しさも感動
いまではすっかりファンです
人生はチャンスがいっぱいです。
事務所前のガレージスペースが、まさかまさかの落語のお稽古場へと大変身!
リノベーションの可能性をビリビリと感じさせて頂けたお仕事でした。
何より、ご家族の暮らしや歴史に深く関わらせて頂けたことを、とても光栄に存じております。
娘さんには終始泣かれたな~(苦笑)